花の名前と物語/イラスト雑記帳

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タンポポ(蒲公英)/キク科タンポポ属
在来種と帰化種 別名フチナ、グヂナ、ツヅミグサ(鼓草)
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「タンポポ」は以前は「鼓草(ツヅミグサ)」と呼ばれていました。そう呼ばれたのは蕾が鼓に似ているということと、子どもがタンポポの茎で鼓の形を作って遊んだことからです。
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①〜③タンポポの茎を折って、両サイドに切れ目を入れると鼓の形になります。②水をつけると早くそりかえります。④真ん中に棒を通して息を吹きかけるとくるくる回ります。また、上から水をかければ水車になります。タンポポから出る乳液で手がベタベタになりますからご注意を。

「鼓草」が「タンポポ」に変わったのは、江戸時代の戯作者(小説家)が本に書いたことから世間に広まったようです。それ以前に子どもたちが面白がってそう呼んでいたという話もあります。鼓を強く打つと「タン」、小さく2回打って「ポ、ポ」です。シャレですね。電子レンジを使う時に「チンする」というのと同じことです。

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ホトケノザ(仏の座)/シソ科/オドリコソウ属
在来種 越年草 花期は3〜6月 10〜30cm 別名サンガイソウ(三階草)

さて、今回は「ホトケノザ」に関して世間で言われていることをちょっと深掘りしてみます。正しいかどうかは保証できませんが。

名前の由来は、向かい合って付いている半円形の葉が、仏様が座っている台座の形に見えるからです。「あれ?仏様は蓮華座(れんげざ)だよね?蓮の花には見えないけど」と思った方、その直感を大切にしてください。素直に見れば蓮の花(蓮華)には見えませんよね。実は仏様の座っている台座にはいろいろな種類があるのです。「ホトケノザ」の形は如来や菩薩が使用する「蓮華座」ではなく、天(吉祥天など)が使う荷葉座(かしゅうざ)という蓮の葉の形をした台座に似ています。如来も吉祥天も「ホトケ」ですから、どっちの台座も「ホトケノザ」です。

春の七草は「せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろ」ですが、この「ほとけのざ」は「タビラコ(田平子/キク科)」だと言われています。田んぼの近くで葉っぱを広げている姿が仏の座に見えるからです。イメージとしては同じキク科のタンポポが近いですね。なぜこんな間違いが起こるのかというと、当時は「タビラコ」を「ホトケノザ」と呼んでいたからでしょう。では「ホトケノザ」はなんと呼ばれていたのでしょうか。冒頭にも書きましたが、「サンガイソウ(三階草)」ですね。「ホトケノザ」は葉っぱが向かい合って付いていて、葉同士の間が離れていますから、それを下から一階、二階、三階と数えたのでしょう。実際は三階以上あったりしますけどね。
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春の七草に対して秋の七草があります。「はぎ、ききょう、くず、おみなえし、ふじばかも、おばな、なでしこ」ですね。秋の七草は平安時代の万葉集に登場します。では春の七草はいつ登場したかというと、これがはっきりとはしないんです。鎌倉時代あたりから始まって、七草の種類も入れ替わったりします。今の七草になったのは江戸時代だと言われています。

1月7日には七草粥を食べるということになっていますが、この風習ができたのが平安時代より後のようなんです。もともとは春の植物を入れたお粥を食べることで悪い病気にかからないように願うという宗教的な行事だったのですが、それを秋の七草に対抗するように春の七草としてしまったので、どうしても7種揃えなければならないということになってしまいました。ちょっと考えてみてください。今の1月7日は新暦ですが、これを旧暦に直すと現在の2月の初め頃になります。2月はまだ冬です。そんな季節に植物がたくさん生えているでしょうか?現在はビニールハウスなどで七草を栽培していますが、昔にそんなものはありません。すぐ上に「種類も入れ替わったり」と書いたのは、こういった事情があったからです。結局、その時期に江戸で手に入る植物で「春の七草」を決めてしまいました。そんなこと決められても東北や北海道ではまだ雪は積もったままで、植物はほとんど見当たりません。では地方で七草粥ができないかというとそうでもなく、「種類を入れ替え」て対応するということになります。

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ムスカリ(muscari)/帰化種/キジカクシ科ムスカリ属

ムスカリは学名(科名)の「muscari」からきています。そしてこの「muscari」とは「muscus(ムスク:麝香)」のことです。この名前になったのは花の香りがムスクと似ているというのが理由ですが、残念なことに日本に生えているムスカリにはその香りがありません。種類が違うのです。そして、その匂いのいいムスカリは日本だとうまく育たないそうです。これまた残念ですね。


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一見してヒヤシンス(風信子)と似ている感じがしますが、それもそのはずで属は違いますが両者とも同じキジカクシ科です。それもあってムスカリは「ブドウヒヤシンス」「グレープヒヤシンス」と呼ばれることもあります。

春になるとプランターなどで栽培しているご家庭も見かけますが、すでに帰化していますので道端でも生えてきます。私の周囲だと国道沿いの緑地帯で咲いています。こんな植物までも日本に帰化しているとはちょっとびっくりです。


2018年の夏は記録的な猛暑でした。そのせいでしょうか、翌年の春はわずかしか見かけませんでした。2020年の今年はどうでしょうか。


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ハコベ/在来種/ナデシコ科ハコベ属

ハコベは春の七草ではハコベラとも呼ばれます。春になるとあちこちで見かけますが、実は謎だらけの植物なのです。だから名前の由来もよく分かりません。

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まず、ハコとは「白:ハクがハコになった」、そして「べ」や「ベラ」は「花びらのビラが変化したという説。簡単で素直な説に思えますが、あまり支持されていないようです。

さて次の説ですが、ちょっと複雑なんです。参考にしたサイトが消えてしまったので、おぼろげな記憶を元に書いてみます。

神様へのお供物は「神饌(しんせん)」と言いますが、「幣帛(へいはく)」とも呼ぶそうです。お米やお酒、農産物などや海産物のような食べ物を供えることが多いのですが、昔は布も供物として供えられました。それが「幣(ぬさ)」です。また、それも「幣帛」と呼びます。「幣」は麻、「帛」は絹という記述もありますし、絹も麻も「幣」と呼ぶ場合もあり、複雑です。

この「幣帛(へいはく)」を逆にすれば「はくへい」になり、これが「ハコベ」の語源のように思えますが、これも違っているようです。


次に「幣」が入っている神社関連の言葉を挙げます。

・和幣(にぎて):神前にささげる麻や楮(こうぞ=和紙の原料)で織った布。

・御幣(ごへい):しめ縄や竹の先に、白い紙を稲妻形に折って左右対象に八の字の形にして付けたもの。お祓いに使う時にはもっとたくさんの御幣を棒の先につけます。今は紙ですが前述した「和幣」のように、以前は布だったようです。


長くなりましたが結論です。この「幣(へい)」が「白い幣」になり「ハクヘイ→ハコベ」となったということです。ちょっと強引のような気もしますけど。「幣」のイメージは「麻」と「布や紙」ですね。布や紙は植物の繊維でできています。そして布は繊維を糸にしてから織りあげます。さて、下の写真を見てください。

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ハコベの中には太い糸のようなものがあるんです。これと花の色が「幣」と結びついたのではと思います。今の「幣」は白いイメージですが、それが麻だった場合、白ではなく薄い黄色になるのじゃないでしょうか。だからわざわざ「白」を付けたのだと思います。


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モクレン(木蓮)/帰化種/春/モクレン科モクレン属

モクレンは漢字で書くと木蓮、つまり木に咲く「蓮(ハス)」という意味になります。ところがこのモクレンは以前はボクランと呼ばれていたようなのです。ボクランとは「木の蘭」のことです。中国は今でもギョクラン(玉蘭)かボクラン(木蘭)と呼びます。発音が違うかもしれませんが漢字ではそうなのです(ただし、蘭の字は簡体字)。つまり日本では途中で「蘭」から「蓮」に変わったのです。なぜでしょうか。
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モクレンは中国原産の木で日本に最初に入ってきたのが918年頃のことです。初めて日本に来たのですから名前もそのままです。両国とも漢字を使っていますから新しい名前を考えなくてもいいので楽です。その名は「シギョクラン(紫玉蘭)」。つまり現在「シモクレン(紫木蓮)」と呼んでいるものは平安時代にやって来たのです。では「ハクモクレン(白木蓮)」が来たのがいつかというと1677年頃、江戸時代です。ただ、名前は白木蓮ではなく「白玉蘭」なのですが。

もともと日本の蘭は小さくて地味なので「紫玉蘭」と言われてもどこかピンとこない。そこに「白玉蘭」が来ました。誰言うともなく「蘭より蓮に似ている」との声が上がります。そうして日本では「シモクレン(紫木蓮)」と「ハクモクレン(白木蓮)」と呼ばれるようになりました。めでたしめでたし。

この話はあくまでも私の想像です。いわゆるエビデンスというものを見つけてはいません。でも、あの花を見て蘭か蓮のどちらに似ているかと言われれば、迷うことなく蓮と答えるでしょう。
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蓮の花がシャープなラインでかっちりとしたイメージなのに対して、木蓮の方は丸みを帯びて柔らかで、どこか力が抜けた感じがします。

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