花の名前と物語/イラスト雑記帳

2020年03月

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サクラ/在来種/春の花/バラ科サクラ属

サクラという名前は古事記や日本書紀に登場する女神の「コノハナサクヤヒメ」からきているという説が有名です。
「『古事記』では本名を神阿多都比売(かむあたつひめ)、別名を木花之佐久夜毘売
「『日本書紀』では本名を神吾田津姫、神吾田鹿葦津姫(かむあたかあしつひめ)、別名を木花開耶姫、」
「『播磨国風土記』では許乃波奈佐久夜比売命と表記する。読みはコノハノナサクヤビメ、コノハナサクヤビメ、コノハナサクヤヒメ、または単にサクヤビメと呼ばれることもある。木花咲弥姫命(このはさくやひめのみこと)と表記することもある。」
以上:ウィキペディアより引用 太字部分は私がつけました。たくさんありますね。それに「コノハナサクヤヒメ」は「別名」なんですね。
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サクラが「コノハナサクヤヒメ」を由来にしているのはいいのですが、この女神様は花や植物の神というわけではなさそうなんです。担当している業務というか属性は、火難除け(これは父親譲り)、安産・子授けのほか、農業、漁業、織物業、酒造業、航海安全などです。農業や織物、酒造は植物に関係している部分がありますが、「ククノチ(またはクグノチ。『古事記』では久久能智神、『日本書紀』では句句廼馳)」さんのようなちゃんとした「木の神」という属性がありません。

ではサクラという名が付いたのかいつごろなのでしょうか。「古事記」「日本書紀」は奈良時代に書かれていますが、この時代のサクラはそれほど目立った存在ではなかったように思われます。そのころの日本は中国に遣隋使や遣唐使などを送って技術や文化を学んでいました。その中国ではサクラよりもモモ(桃)の方が人気があったようです。三国志の「桃園の誓い」や「桃源郷」とか、「李(スモモの木)下に冠を正さず」なんていう諺もあります。サクラに関するものは思いつきません。

ということで「サクラ」という名前がいつから使われるようになったのかを探す旅に出ました。そうしたら意外なことに「古事記」と「日本書紀」の「履中天皇」に関する記述の中に「若櫻宮」という記述があるんです。これは「若櫻」という場所にある宮、もしくはそう名付けられた住まいのことだと思います。「コノハナサクヤヒメ」から「サクラ」という名がが生まれたということですが、一冊の本の中で「咲耶」→「櫻」はおかしい気がします。「サクヤ」から「サクラ」に変わるのが早すぎです。しかも「櫻」という漢字を使っています。「サクヤ」と「サクラ」は別物のような気がします。

「古事記」の中にある「木花咲耶姫」の記述を探していたんだけれど見つかりません。「神阿多都比売」でも出てこない。そのかわりに「木花知流比売(このはなのちるひめ)」がヒットしました。「咲く」じゃなくて「散る」なのです。えーと、どちら様でしょうか? 見過ごしてしまったか、違う「古事記」を検索してしまったのかな? 謎は深まるばかりです。ご存知の方がおられましたら、「木花咲耶姫」の記載されている箇所や、上の文章の間違っている部分などをコメントで指摘していただければ幸いです。
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太い幹からソメイヨシノの花がいきなり生えてきました。地上から1メートルぐらいの所です。枝じゃなくて幹ですよ。すごいパワーだと思います。

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カタバミ(方喰)/在来種/春〜秋/カタバミ科カタバミ属

キーボードで「カタバミ」と入力すると「方波見」「酢漿草」は変換候補に上がりますが「片喰」は出てきません。でも私は「片喰」を強く推したいと思います。その理由として、まず「方波見」は珍しい名字の一つで、漢字は水に関連したもののように思われます。次に「酢漿草」は酸っぱい草という意味で、その酸っぱさは「シュウ酸」が含まれているからです。この「シュウ酸」はほうれん草などにも含まれています。植物の性質を正しく説明した名前なのですが、完全に当て字です。その点「片喰」は「片方を喰(は)む=食べる」で「かたばみ」ですので漢字を正しく読んでいます。では、この漢字の表す意味はなんでしょうか。
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カタバミの葉はハート型をしています。けれどよく見ると中央が少しへこんでいます。普通はほとんど目立ちませんが、暗くなったり雨が降らない日が続くとだんだんと閉じていきます。それがV字形からやがて葉の左右のくっつくほどになります。つまりハートを中央から折った形になります。それがハートの半分(片側)が食べられてしまったように見えることから「片喰」という名が付いたのです。
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晴天続きのせいでしょうか、葉が閉じてしまいそうになっています。

「喰む(はむ)」という表現はあまり見かけないと思いますが、「牛が草を喰む(牛が草を食べる)」という言い方をしますし、昔話に出てくる大蛇は「ウワバミ」で、これは「大喰む(オオバム)=体が大きくて噛むもの」が変化したものです。競走馬などの口に「ハミ」を入れて手綱をつけますが、この「ハミ」も「喰み」です。マンガの擬音(オノマトペ)の一つに、大きな口を開けて何かを食べたり噛みついた際に「ハム」と表現したりしますが、これも「喰む」からきているように思われます。

今でも和服などで家紋が使われます。その中にハートの形をしているものがありますが、それは「ハート」ではなく「カタバミ」です。片喰紋は5大家紋の一つと言われるほどに人気があるのです。別にハートの形だから人気があるのではないのです。カタバミはやっかいな雑草で、地表に出ている部分を引っ張っても上だけが千切れてしまい根が残ってしまうので、また生えてきます。これが子孫繁栄の象徴だと武士の目に留まったのです。駆除されても根絶できないということは、お家が続く=家名(子孫)が残るという意味になります。これは縁起のいい植物だということになり、家紋に使われるようになったのです。

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